「スーパーヨット」対応岸壁を与那原マリーナに整備へ 沖縄県、富裕層の誘客図る


社会
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過去に与那原マリーナに寄港したスーパーヨット(与那原町提供)

 2022年以降の新たな沖縄振興に向けて、沖縄県は約32年ぶりに中城湾港の港湾計画を全面的に改訂し、与那原町の与那原マリーナで、超大型クルーザー「スーパーヨット」に対応した岸壁や浮桟橋を整備する方針を固めたことが分かった。県内でスーパーヨットの停泊を想定し、岸壁が整備されるのは初めて。新たな沖縄振興計画でも、受け入れ拠点の整備によって近接する大型MICE(マイス)施設と連動した街づくりを推進する方針を打ち出し、高付加価値の観光創出を目指す考えだ。

 スーパーヨットは、一般的に外国人富裕層などが個人所有する全長24メートル以上の大型クルーザーで、世界的な産業規模は拡大を続けており、18年時点で9千隻以上が運航している。

 政府は21年12月、新型コロナウイルスの収束を見据え、スーパーヨットが国内へ寄港する際、税関や入国管理手続きなどの規制を緩和すると決定。国内最初の寄港地でいったん入国手続きをしてしまえば、「内航通行船」として国内を周遊でき、これまで寄港地ごとに必要だった審査が大幅に簡素化した。乗組員についても、数次ビザが発行でき、長期滞在が可能となる。

 与那原マリーナは重要港湾に指定されている中城湾港の一部で、国内最初の寄港地として入国手続きをすることが可能。浮桟橋や岸壁の整備によって、スーパーヨットの寄港回数の増加を目指す。県は与那原を拠点としてスーパーヨットが県内各地を周遊することも想定し、県全体の魅力発信にもつながるとみている。中城湾港の港湾計画改訂は、中央港湾審議会を経て22年3月に国土交通省の交通政策審議会で正式に決定する見通し。(池田哲平)