首里城の大龍柱「相対向き」に質問状 3団体、検討委に根拠を要求


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首里城正殿(資料写真)

 国の「首里城復元に向けた技術検討委員会」(高良倉吉委員長)が昨年12月、首里城の大龍柱を「相対向き」で復元することを暫定的に結論付けたことを受け、首里城再興研究会(友知政樹共同代表)など3団体は7日、沖縄総合事務局と検討委に公開質問状を発送した。判断の根拠資料や議事録の公開など22項目の質問を盛り込んだ。

 提出団体は他に絵図から考える首里城の会(佐久本伸光代表)と、首里城正殿大龍柱を考える会(大田朝章代表)。総合事務局と検討委に20日までの回答を求め、回答の有無も含め公表する方針。

 3団体は質問状で「論理矛盾を含みかつ誤った結論を導き出している」と指摘し、見解や根拠資料を示すよう求めた。

 質問状は、文化遺産の保全や修復のための国際憲章「ヴェニス憲章」の第9条で、歴史的な建造物の修復について「確実な資料を尊重することに基づく」「推測による修復を行ってはならない」としていることにも触れた。その上で検討委の暫定的な結論は同憲章に反すると指摘し、見解を求めた。

 技術検討委は、1846年から1877年までの約30年間に大龍柱の向きが相対向きから正面向きに変更されたと結論付け、前回の復元を踏襲し相対向きにすることを暫定的に決めた。ただし、向きの変更を示す明確な証拠は確認できていないとした。

 質問状は首里城再興研究会のウェブサイトでも公開している。
 (古堅一樹)