琉球舞踊「童舞姿」はつらつ舞台 表情豊か、観客を魅了 朱日流


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豊かに実った稲への喜びを表現した「稲しり」=2021年12月26日、嘉手納町のかでな文化センター

 琉球舞踊の朱日流(古謝弘子家元)が嘉手納町のかでな文化センターで12月26日、「童舞姿(わらびまいしがた)」を開催した。同流会派に所属する、小学生から高校生の「舞踊家」20人余りが出演した。生き生きとした踊りや芝居に、観客は元気をもらった。県文化振興会主催のかりゆし芸能公演の一環。

 「松竹梅鶴亀」で幕を開け、ことしの琉球古典芸能コンクール入賞者4人による「かせかけ」が続いた。両演目とも、踊り手の表情に良い緊張感が漂い、ひたむきな舞姿が観客を引き付けた。

 1部のトリを飾った寸劇「孝行三良小」は、両親の祖母に対する親不孝な行いを改心させる利口な子どもの話。観客は、うちなーぐちを使い演技をする子ども役のかわいらしさに目を細め、ハーメー(祖母)や両親役の懸命な演技に涙を誘われた。

滑らかなうちなーぐちで演じられた寸劇「孝行三良小」

 2部は「上い口説囃子」で始まり、20人の踊り手がはつらつとした口説囃子を会場に響かせた。泡瀬の民俗芸能「京太郎」は陣がさと共に勇壮に踊り、さわやかな踊りの「谷茶前」につないだ。

 最後は「結」と題して、農民口説、マミドーマー、稲しりを続けて踊った。舞台全体を使い、笑顔をはじけさせて子どもたちが踊る姿は福々しく、厄をはらい、迎える新年に向けて弾みを付けた。

 「加那ヨー天川」を、晴れやかな表情と共に踊り観客を魅了した伊禮沙也希さん(16)と幸地美樹さん(17)は「コロナの影響もあり稽古日数も限られていたが、舞台ができて良かった。本番は2人で、心から楽しく踊れた」と話した。

 司会は、しまくとぅばの継承などにも取り組む「沖縄ハンズオンユース倶楽部」の部員が務めた。芝居や民俗芸能など多彩な演目、口説や方言中心の進行に、沖縄の文化継承への強い意思を感じた。
 (藤村謙吾)