「絹糸声」よ、永遠に 大城美佐子の追悼ベスト盤「ウムイ」を発売


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大城美佐子さん。登川誠仁さんと=2012年9月(喜瀬守昭撮影)

 昨年1月に死去した沖縄を代表する民謡歌手大城美佐子の2枚組追悼ベスト盤「ウムイ」(タフビーツ)が19日、発売される。追悼盤は2007~17年に発表したオリジナルアルバム4作とコンピレーションの中から計27曲を選曲した。デジタル技術を用いてリマスタリングした音源を収録する。代表曲「固み節」や、嘉手苅林昌との思い出深い「白雲節」をはじめ、沖縄民謡唄者ら多数のアーティストとの共演作を収めた。

 大城は1936年、大阪市大正区生まれ、名護市辺野古育ち。20歳ごろから琉球古典音楽や舞踊を習った。その後、民謡の道に進み、知名定男の父・定繁に弟子入り。62年にシングル「片思い」でデビューした。70年代から林昌とのコンビでも活躍した。歌声は“絹糸声”(いーちゅぐぃ)と呼ばれ親しまれた。大城は生涯現役で舞台に立ち続け、ジャンルの垣根を越えたアーティストとの共演も重ねた。

 10年間で発表された4作のアルバム、プロデューサーの上原キコウの呼び掛けで実現したアルバム「唄ウムイ」、よなは徹との「ふたり唄~ウムイ継承」、樺太アイヌの弦楽器トンコリ奏者のOKIとの「北と南」、生前最後のアルバムとなった「島思い~十番勝負」から選曲。大城の弟子や親交の深かった写真家やライターらの大城への思いが込められたアルバムに仕上がった。

(右から)大城美佐子の弟子の林恭子、タフビーツの神尾元治、写真家の野村恵子=2021年12月24日、那覇市泉崎の琉球新報社

 監修を務めた弟子の林恭子は「(美佐子先生の)10年間の作品の変化を聞き比べることができ、喜んでもらえると思う。コロナ禍になり最後に会えなかった全国のファンの皆さんに聞いてほしい」と話した。

 収録曲は師匠定繁作の「別れの煙(ちむり)」、定男との「夜半参り(やはんめー)」、徳原清文との「あきとーなー~でんすなー節」、ネーネーズとの「県道節」、宮沢和史との「でいごの花」など。ほか唄三線に名護良一、安里勇、前川守賢ら。太鼓は八木政男ら。解説は一番弟子で民謡歌手の堀内加奈子。カラー写真集付きのブックレットやライナーノート付き。価格は税抜き4500円。

(田中芳)