沖縄出身の上原千果「コザが燃えた日」で舞台デビュー 松山ケンイチと共演「高揚感があった」


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上原千果(ホリプロ提供)

 【東京】県出身の上原千果(15)が、9日に開幕した、松山ケンイチ主演の舞台「hana 1970、コザが燃えた日」で舞台デビューを果たした。舞台初日を振り返り「たくさんの拍手をいただき、感動できる舞台にできたのかなって、高揚感があった。うれしかった」と笑顔を見せた。

 幼い頃に両親と見た映画の画面越しの世界に憧れ、俳優の道を志すようになった。2020年にスカウトされ、演出家・栗山民也のワークショップに参加したのがきっかけで、今回出演が決まった。

 舞台の物語は、1970年のコザ騒動当日の米軍基地近くのAサインバーを舞台に、血のつながらない家族が心のぶつかり合いを通して再生する姿を描く。上原は、Aサインバーを取り仕切る「おかあ」と脱走兵との間に生まれた娘ナナコ役として、米兵による凄惨(せいさん)な事件に巻き込まれる難しい役どころを演じる。

舞台「hana 1970、コザが燃えた日」でナナコ役を演じる上原千果(撮影・田中亜紀)

 上原は壮絶な体験をした人が抱える心の痛みをどう演じればいいのか、苦心したという。栗山からの助言もあり、県民を追ったドキュメンタリーを見るなどして学んだ。「すごく難しい。いまも悩んでいる」と語る。舞台について「私も同じだが、戦後の沖縄は知られていない。おかあのセリフに『戦争はまだ終わっていない』というのがある。戦後もまだ(戦争が)続いているという思いを知ってほしい。また家族愛で温かくなってほしい」とアピールした。

 将来は、NHK連続テレビ小説や好きなゾンビ映画への出演、バラエティー番組にも挑戦したいという。「マルチに活躍できるような俳優になりたい」と目を輝かせた。

(問山栄恵)