沖縄から飛び出し全国2冠に貢献 神村学園の三富りりか サッカー高校女子


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
日ノ本学園―神村学園 試合終了間際、ゴールを決め笑顔の神村学園・三冨(手前中央)=9日、ノエスタ

 サッカーの全日本高校女子選手権最終日の決勝は、16大会ぶりの優勝を目指す神村学園(鹿児島)と7大会ぶりの頂点を狙う日ノ本学園(兵庫)の対戦。9日、神戸市のノエビアスタジアム神戸での優勝戦前半はスコアレスだったが、後半20分に先制した神村学園は、終了直前の三冨りりか(北谷第二小―神村学園中等部出)のダメ押しゴールまでで3―0とし、夏の全国高校総体(インターハイ)に続き2冠を達成した。三冨は1年生ながら全国の舞台で躍動。インターハイから起用され続け、2冠に大きく貢献した。

 小学では北谷SCに所属し、当初は県内のクラブチームに入ることを考えていたが、有望選手が集まるトレセンの監督から神村学園を紹介され、学校体験会に参加した。「サッカーに懸け、日本一を取りたいと本気で来ている人たちが多くいる。高いレベルの中で刺激を受けながら技術を磨きたい」

 中高一貫校で他県からもトップを目指すレベルの高い選手たちが集まる環境に身を置くことを決意し、小学卒業後に沖縄を飛び出した。チームのリストアップ選手ではなかったが「すごくいい」と指導者らの目に留まり、中等部で鍛え上げられた。

 「テクニックが高く、物おじしせず、淡々とプレーできる」(寺師勇太監督)とセンスを買われ、昨年は中等部3年で高等部のメンバーに起用されて皇后杯に出場。そのままチームの主力の座をつかみ取った。高等部に上がった昨年夏のインターハイでは、決勝で先制ゴールを決めて初優勝に貢献した。

 チームの信頼を得て選手権では初戦の1回戦から出場した。「点を取ることにこだわってプレーしている」と目標は毎試合得点。1回戦こそ無得点だったが、2戦目から4試合で4得点。決勝は最終盤の決定機に「点を取りたい思いを強くした」と、ゴールを目指して走り込み、クロスに右足を合わせ「気持ちで押し込んだ」。勝負強さを発揮した。

 寺師監督は「利き足に関係なく左右で精度の高いキックができ、シンプルに点が取れる」と素質の高さを評価し「プロになれる選手。大きなけがなく残り2年間で大きく育ってほしい」と期待する。

 三冨は「次からは神村を倒すために他のチームが向かってくる。自分たちのサッカーを磨いて、インハイはもちろん次の選手権に必ず帰ってきたい。個人としてはチームの中心、攻守で起点になれる選手になりたい」と目標を語る。一戦一戦を大切にしながら、その先の2年連続2冠へ走りだす。

 (謝花史哲)