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【宮古島】昔ながらの製法を守り、手作りで「宮古みそ」を造る宮古島市平良のマルキヨ味噌は12月20日、醸造用の木おけを導入した。みそ醸造に木おけを使用するのは島で初めて。本土から到着した木おけを前に下地康信代表(58)ら従業員は「素晴らしい。絶対いいみそができる。間違いない」とうれしそうに笑った。
マルキヨ味噌は下地代表で2代目。先代の祖母からみそ造りを受け継いだ。原料は国産。国内でも珍しい天然菌を使って醸造する。温度管理にも機械は使わず、窓やドアの開閉のみで調整し、宮古島の気候風土を利用した唯一の味に仕上げる。
木おけは日本の各地でしょうゆやみそ、酒などを醸造する大おけの製造や修理を請け負う木おけ職人集団の「結い物で繋(つな)ぐ会」が請け負った。奈良県産の吉野杉を使用し、縦横ともに約1メートルでくぎや接着剤は一切使っていない。約500キログラムのみそを仕込むことができる。
木おけの導入は「結い物」に所属する食品バイヤーの岸菜賢一さんが昨年7月に買い付けで宮古島を訪れたことがきっかけ。もともと「いつかは木おけでみそを造りたい」との夢を持っていた下地代表と出会い、とんとん拍子で話は進んだ。岸菜さんは「沖縄はかめ文化で、木で仕込むことも珍しい。下地さんの思いに応えられることができてこちらもうれしい」と話した。
徳島県阿南市の「司製樽(つかさせいたる)」が製作にあたった。メーンで担当したのは職人の伊藤翠さん(37)。「おいしいみそができるように。末代まで使えるように心を込めて作った」と胸を張る。
伊藤さんの師匠で「司製樽」棟梁の湯浅啓司さん(37)によると、木おけは修繕をしながら100~150年は使えるものだという。湯浅さんは「長年使ううちに、なじんでいくし麹菌もすみつく。同じ材料でも木おけ以外で仕込んだものとは素人でも分かるぐらい味が違う」と話した。
マルキヨ味噌に運び込まれた木おけには、下地代表と「結い物」の3人が名入れをした。下地代表は「夢がかなった。来年の夏ぐらいに出荷できると思う。もうおいしいのは分かっているから、楽しみでしょうがない」と満面の笑みで語った。
(佐野真慈)