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出産を足かせにしない…キャリア支援がIT高度人材の確保にも<企業の「女性力」>7


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
(右)男女とも働きやすい環境構築に取り組む上間瑠美子執行役員(左)IT技術者として、仕事や家庭の両立に取り組む嵩西遥さん=2021年12月、宜野湾市のプロトソリューション

 IT関連事業のプロトソリューション(宜野湾市、白木享社長)は、同社初の女性執行役員に就任した上間瑠美子氏を中心に、男女ともに働きやすい環境づくりに取り組んでいる。

 上間氏は2007年に入社し、外販部門やウェブ制作部署の事業部長を歴任。赤字部門を黒字化するなどの功績が認められ、19年に執行役員に就いた。

ショック

 上間氏は女性のロールモデルとして、後輩からの相談を受けることも多い。その中で、ある従業員の言葉にはっとした。子どもがいたら、子どもを産んだらキャリアアップは望めないのか―。

 「彼女は子どもを欲しがっていた。私には子どもがいないため、妊娠・出産がキャリアの足かせにならないかと言われ、ショックだった」。女性のキャリアアップ支援の必要性を痛感し、上間さんを中心に16年、女性活躍推進プロジェクトが発足。女性管理職を増やすための研修などを実施している。取り組みが評価され、18年に厚生労働省から「えるぼし」の三つ星認定を受けた。

 19年にダイバーシティー・アンド・インクルージョン・プロジェクト(DIP)に名を変え、男女ともに働きやすい環境づくりに力を注ぐ。「昇進を望む人も、家庭を優先する人もいる。一人一人の価値観を共有し認め合い、安心して働ける企業を目指したい」

取り消し

 昨年11月、ITエンジニアとしての高い技術力を買われ関連会社からプロトソリューションに転職した嵩西遥さん。エンジニアは男性が多く、プロト関連会社のさらに前に勤めていた企業でも周囲は男性ばかりだった。

 嵩西さんは以前の職場に在籍中に妊娠、出産したが、ふに落ちない記憶がある。社側から内々に昇進が伝えられていたが、妊娠を社側に報告したタイミングで、なぜか取り消しになった。「黙っていた方がよかったのか」。何が正解だったのか、今も分からない。

 今の職場は、仕事と家庭の両立ができることも入社の動機になった。「子どもがいるということを、私の特徴の一つとして捉えてもらっている。深夜対応もある部署だが定時で帰ることができ、周囲に助けてもらっている」と感謝する。

 「女性としてライフイベントと仕事を両立させたいし、後輩たちにもキャリアをあきらめないでほしい」。自身の経験を伝えながら、仕事も家庭も充実させようと前を向いている。 (小波津智也)


女性が結婚や出産などを機に、仕事の継続やキャリアアップを諦めざるを得ない状況が続いており、連載では女性が直面する課題を取り上げます。連載へのご意見やご感想、体験談などのメールは、QRコードを読み取るか、ファクス098(867)5607まで。


 

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