PFOA汚染巡る訴訟、沖縄と重なる社会派作品 桜坂劇場で「ダーク・ウォーターズ」


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映画「ダーク・ウォーターズ」(桜坂劇場提供)

 映画「ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男」(トッド・ヘインズ監督)の上映が、那覇市の桜坂劇場で始まっている。今も実際に米国で続いている、PFOA(ピーフォア)汚染を巡る訴訟に基づき制作された、社会派作品。2月11日まで。

 1998年、弁護士ロブ・ビロット(マーク・ラファロ)のもとに、大手化学企業デュポン社に土地を汚染された、と訴える農場主がやってくる。訴訟に踏み切ったロブは、デュポン社の廃棄物に関する開示資料から、化学物質PFOAの存在を知る。

 ロブは、訴訟を通じて、当時知られていなかったPFOAの有害性と危険性を世間に知らしめる。企業側が専門家らの会議を通じて、水道水から検出されたPFOAの濃度を「安全なレベル」だと主張すれば、約7万人の血液調査を通じてPFOAと健康被害の因果関係を証明する。正義も理も原告側にある。しかし、病に冒された原告には時間がなく、対する企業は時間と金が十二分にある。

 国の暫定指針値を越えるPFOS(ピーフォス)やPFOAが検出されても住民が安心できる説明はなされず、他方、時間を掛けて原告をあきらめさせようとする裁判がある。スクリーンには、沖縄にとって既視感を覚える光景があった。
 (藤村謙吾)