首相、地位協定見直さず 衆院代表質問 沖縄予算「所要額の結果」


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 【東京】岸田文雄首相は19日、衆院本会議の代表質問に臨み、野党代表と論戦を交わした。立憲民主党の泉健太代表は、在日米軍の新型コロナウイルス感染対策の不備が明らかになった点を踏まえ、日米地位協定の見直しに向けた米側との協議を求めた。岸田氏は「見直しは考えていない」と述べ、日米合同委員会で協議する考えを示した。前年度から10%超減の2680億円となった次年度の沖縄関係予算には、「所要額を積み上げた結果だ」と述べるにとどめた。小川淳也氏(立憲民主)への答弁。

 泉氏は、国内法が適用されない在日米軍基地でクラスター(感染者集団)が相次いだ点を問題視した。ドイツやイタリアでは国内法の適用、駐留米軍基地への立ち入り権などが認められている点を指摘し、「他国並みのホスト国権限を米国に求めない理由を」と説明を求めた。

 岸田氏は、地位協定の改定を考慮しない考えを示した上で、ドイツ、イタリアとの比較について「実際の運用や安全保障環境等の背景なども含めた全体像の中で検討する必要があり、単純に比較することは適当ではない」とした。

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設の見直しについても問われ、「唯一の解決策」として移設を進める従来見解を繰り返した。

 小川氏は、復帰50年の節目を迎える2022年度の沖縄予算が10年ぶりに3千億円を割り込んだ点について、「札束でほおを張るかのような強権的な対応だ」と批判し、減額の理由をただした。

 これに対し、岸田氏は、「厳しい財政状況の下で各事業の所要額を積み上げた結果だ」と述べた。子どもの貧困対策や離島・北部振興など「沖縄振興における重要分野について予算を増額した」とし、一括交付金等についても「必要な額を計上した」との見解を示した。 (安里洋輔)