海邦総研(新崎勝彦社長)は20日、2021年度の県内賃金動向を発表した。正規社員の賃金について、改善を「実施した」「実施する予定」と回答した企業の合計は61・2%となり、過去最低水準だった20年度調査の51・4%から9・8ポイント上回った。新型コロナウイルス感染症の影響は続くが、人手不足が顕著な業種を中心に賃金は改善傾向にあるとみられる。
業種別では、「実施した」との回答が最も多かったのが卸売・小売業の63・6%で、その他のサービス業61・4%、医療・福祉60・9%と続いた。理由として、「労働力の定着・確保」が76・0%で最も多かった。
一方、コロナ禍で業績が低調の旅行・宿泊業は20・6%にとどまっている。改善しなかった企業の理由として、「景気の先行きが不透明」が60・5%で最多だった。
非正規社員に関する賃金改善では、「実施した」「実施する予定」と回答した企業の合計は43・1%となり、正規社員との比較では18・1ポイント下回った。
冬期賞与については「支給する・した」が最多の62・2%だった。業種別では、情報通信業、卸売・小売業、建設業で「支給する・した」が多くみられるが、旅行・宿泊業や飲食サービス業、不動産業では「今年は支給しない(しなかった)」が多かった。
22年度の正規社員・非正規社員の賃金改善意向は「実施する予定」が45・8%で最も多く、前年度比で7・3ポイント上昇している。調査は21年12月に実施し、県内企業402社から回答を得た。 (小波津智也)