【東京】政府は20日までに、通常国会に提出する沖縄振興特別措置法改正案の条文に、英語教育の促進を含む「人材育成に資する施策」や、文化財の保存・活用の担い手育成など五つの施策を新たに盛り込む方針を固めた。複数の政府関係者が明らかにした。国際物流や観光などの拠点整備を促す「地域・特区制度」では、税制優遇を受ける事業者への条件に「賃上げ」「付加価値向上」も盛り込む。
努力義務として新たに条文に明記される「人材育成に資する施策」を巡っては、内閣府が8月に示した「基本方向」で、英語教育について在沖米軍基地や沖縄科学技術大学院大学(OIST)などを「教育資源」として活用する方針を示していた。
改正案は、同日に行われた自民党沖縄振興調査会(小渕優子会長)の非公式会合で内閣府が示した。法案は自民党内での議論を経て、来月初旬の閣議決定を目指す。
政府関係者によると、新たに加えることを検討しているのは(1)英語教育の促進を含む「人材育成に資する施策」(2)文化財の保存・活用の担い手育成に関する施策(3)県内で深刻化する「子どもの貧困」対策(4)脱炭素社会の実現に向けた取り組み(5)デジタル社会の実現に向けた取り組み―に関する五つの条文。いずれも努力義務とする方針という。人材育成に資する施策について、同調査会の宮崎政久事務局長は「英語教育のほか、社会人向けの教育制度の創設など高度人材の育成に向けた幅広い取り組みを想定している」と説明した。
「地域・特区制度」では、法人税などの税制優遇を受ける事業者に「従業員給与水準引き上げ」と「付加価値向上」を条件付ける。条文は設けず、法成立後の告示として明示する見込みだ。
(安里洋輔)