「オール沖縄」の退潮鮮明…玉城知事の再選へ黄信号 名護、南城市長選で2敗


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岸本洋平氏(右端)の敗戦の弁を神妙な面持ちで聞く玉城デニー知事(左端)ら=23日午後10時15分、名護市宮里の選挙事務所(ジャン松元撮影)

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設が最大の争点となった名護市長選での敗戦に加え、南城市長選でも現職の座を政権与党の自公勢力に奪還されたことで「オール沖縄」勢力の退潮が鮮明となった。保守系や経済人が相次いで離脱してきたオール沖縄は、自民、公明の巻き返しを止められずにいる。秋までに実施される県知事選での玉城デニー知事の再選に黄信号がともる。

 県政奪還を狙う自民、公明は知事選に向けさらに視界が開ける結果となった。停滞状態にある参院選沖縄選挙区の候補者選考に名乗りを上げやすい環境もつくられた。玉城知事の対抗馬を擁立する知事選の候補者選びとともに、人選の議論が活発化していく。

 オール沖縄は昨年10月の衆院選で、全県規模の選挙としては初めて総得票数で自公勢力を下回った。今年の「選挙イヤー」初戦の名護、南城両市長選で勝利し、知事選に向けて反転攻勢に出る戦略だったが、出だしで大きくつまずいた。

 特に名護市長選での敗戦は、辺野古移設阻止の「民意」を原点に結集したオール沖縄の存在意義が問われる事態だとも言える。保守支持層離れの課題が大きくのしかかり、県知事選に向けた争点設定など、玉城知事の再選戦略で抜本的な見直しが迫られる。

 一方の自民には、いまだ高い人気を誇る玉城知事への警戒感もあるが、続く石垣、沖縄市長選でも保守系現職の市政を維持し、玉城県政を追い詰める算段だ。名護市長選では衆院選比例代表の「恩返し」(公明県本幹部)から公明も精力的に動き、自公連携の強度も増した形だ。
 (大嶺雅俊)