コロナ関連融資2802億円 沖縄公庫20年2月~21年3月 政策金融評価を発表


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沖縄振興開発金融公庫

 沖縄振興開発金融公庫(川上好久理事長)は28日、2021年度の政策金融評価報告書を発表した。新型コロナウイルス感染症に関連する融資が、20年2月~21年3月末までに決定ベースで1万3649件、2802億円に上ったことなどを取り上げた。

 感染症拡大に伴い、急激に増加した資金需要に対応するために機動的な資金繰り支援を実施し、全資金の貸付残高はコロナ禍前の2018年度末の8587億円から、20年度末で1・2倍の1兆319億円に増額した。特に中小、小規模事業者向け融資の貸付残高は2696億円から1・7倍の4570億円に増えた。

 沖縄21世紀ビジョン基本計画にひも付けた実績として、11年度から20年度の10年間で7万3870件、1兆3854億円の出資・融資を実行した。

 20年度は新型コロナ特別貸し付けを含む「雇用の対策と多様な人材の確保」に関する融資が増加し、金額の構成比は19年度の5・2%から88・4%と大幅に増加した。

 融資先へのアンケートでは、沖縄公庫から融資を受けたことで民間金融機関からも融資を受けやすくなる「呼び水効果」について、4割強で効果が見られた。

 特定テーマとして、「人づくり」に果たしてきた役割について取り上げた。20年度に沖縄公庫の教育資金を利用した人のうち、世帯年収400万円未満が50・6%を占めた。400万円未満の利用者のアンケートでは、教育資金を利用した理由として「貯金や貯蓄ではまかないきれなかった」が74・0%に上り、「収入が少なく不安だった」が63・9%だった。

 沖縄公庫は「経済的理由で高等教育機関への進学などを断念するのを防ぎ、公平な教育を受ける機会の向上に寄与している」と評価した。
 (沖田有吾)