最多3万5566人「静かな夜」求め提訴 第4次嘉手納爆音訴訟 「にじてぃにじららん」


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裁判所前で集会を開く第4次嘉手納爆音訴訟の原告・弁護団ら=28日午後0時40分ごろ、沖縄市知花の那覇地裁沖縄支部前(石井恵理菜撮影)

 米軍嘉手納基地周辺8市町村の住民1万2049世帯の3万5566人が28日、米軍機の騒音で睡眠妨害や身体的被害などを受けているとして、夜間・早朝の飛行差し止めや損害賠償などを国に求める「第4次嘉手納爆音訴訟」を那覇地裁沖縄支部に起こした。原告数は1次訴訟の約40倍で、全国の基地騒音訴訟で最多。日本復帰50年の節目の年に、静かな夜を取り戻す4度目の法廷闘争に挑む。

 原告は基地周辺で国が定めた騒音コンター(分布図)で、うるささ指数(W値)75以上の区域内の住民。訴状によると、住民らは嘉手納基地を離着陸する米軍機の騒音や基地運用により、睡眠妨害や健康被害、子どもの成長への悪影響などを受け、憲法が保障する人格権や平和的生存権などが侵害されているとしている。

 第1の請求に、毎日午後7時~翌午前7時までの間、航空機の離着陸とエンジン作動を一切しないよう求めた。昼間を含めた1日の騒音が、Lden(エルデン、時間帯補正等価騒音レベル)45デシベルを超えないことなども求めている。損害賠償請求額は1人月額5万5千円とし、爆音差し止めの判決が確定するまでの将来分の賠償も求めた。

 1~3次判決は、過去に生じた被害の損害賠償を認めた。一方、飛行差し止めについては米軍機の運用は国が制限できる立場にないという「第三者行為論」で退けている。

 提訴後の記者会見で原告団準備会の新川秀清会長(85)は原告数について「痛めつけられた基地周辺の皆さんが『にじてぃにじららん(耐えようにも耐えられない)』と立ち上がってきた結果だ」と述べ「復帰して50年、大きな期待は裏切られてしまったという感じすらある。外来機の飛来や自衛隊機の訓練が繰り返される状況で、爆音を放置するわけにはいかない」と強調した。 (前森智香子)