「沖縄の基地問題 自分事として」 玉城知事キャラバン オンラインで再開


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沖縄の基地問題についてオンラインで話し合うトークキャラバン出演者ら=27日

 沖縄の米軍基地問題を広く知ってもらう目的で玉城デニー知事が全国各地で講演する「トークキャラバン」が、27日からオンラインを活用して再開した。この日は福岡市民を主な視聴者に想定し、同地にゆかりのある有識者らを招いて討議の模様を生配信した。

 玉城知事は、1950年代に日本国内での米軍基地反対運動が大きくなり、当時米占領下にあった沖縄への部隊移転で基地が集中していった経緯を説明。「私たちも過重な基地負担に反対し続けている。国民一人一人が自分のこととして考えるべき課題だ」と訴えた。

 普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設についても問題点や経緯を解説し、県が反対する理由を伝えた。

 「本土に沖縄の米軍基地を引き取る福岡の会」の里村和歌子代表は、「誰だってコントロールできない危険な物が隣にいるのは嫌だ。だが、これ以上、沖縄に基地を押しつけるのは同じ人間として我慢ならない」と語った。基地を引き取る前提に立つことが、当事者として議論する第一歩になると強調した。

 九州大の南野森教授(憲法)は「沖縄だけに理不尽な条項を強いる国で堂々と日本人だと言えるか」と疑問を呈し、沖縄の現状を発信するメディアや番組を応援することを参加者に提案した。

 過去に県が設置した「米軍基地問題に関する万国津梁会議」の委員長も務めた、元内閣官房副長官補の柳沢協二氏は「平時の基地負担だけでなく、基地があるが故に戦争に巻き込まれるという、もっと深刻な基地負担も出てきている。こんな状態で日本の安全保障が全うできるわけがない」と指摘した。

 次回は2月9日午後6時半から、兵庫県神戸市民を対象に開催する。在住者に関わらず誰でも視聴できる。
 (明真南斗)