戦争遺跡の文化財指定、沖縄13市町村に26件 研究者、指定加速を促す


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吉浜 忍氏

 1996年、広島の原爆ドームが国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録されたことを契機に、全国で戦争遺跡の保存・活用の機運が高まった。95年には、国の文化財指定の基準が改定され、戦争遺跡を含む近代の遺跡も指定対象となった。

 県立埋蔵文化財センターは98年度から戦争遺跡の分布調査を開始し、2010年度~14年度に詳細確認調査を実施。全市町村で1076件を特定した。分布調査は全国的にも先駆的な取り組みとして注目された。

 県教育委員会文化財課によると、22年1月現在、県内の13市町村が26件の戦争遺跡を文化財指定している。複数指定をした自治体もあれば、1件もない自治体もある。県指定は1件もない。

 沖縄戦研究者の吉浜忍氏は、県内の全市町村での指定加速を促す。「沖縄戦は住民を巻き込み、20万人余の犠牲を出した地上戦闘で、世界史の戦争をみても例がない」と指摘する。第32軍司令部壕をはじめ、沖縄の戦争遺跡群の世界文化遺産登録を目指すことも提案した。
 (中村万里子)