中山石垣市長が尖閣海上視察 就任後初 行政の海域調査は約10年ぶり


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尖閣諸島周辺海域での調査を終え下船する中山義隆石垣市長(手前) =31日午後、石垣市の石垣港

 【石垣】尖閣諸島を行政区域に含む石垣市の中山義隆市長は31日、東海大の調査船に同乗し、尖閣諸島を海上から視察したと明らかにした。中山市長が尖閣諸島を海上から視察したのは就任後初めて。石垣市は市海洋基本計画に関する周辺海域の調査を東海大に委託しており、その調査の一環として尖閣諸島周辺を航行した。行政機関による尖閣諸島の海域調査は2012年9月に東京都が実施して以来、約10年ぶりとみられる。海洋調査には市職員約10人に加え、市議の我喜屋隆次氏、仲間均氏の2人も乗船した。

 中山市長は30日午後に東海大の山田吉彦教授(海洋政策)らと共に調査船で石垣港を出港した。海洋調査は31日午前7時ごろから開始し、午前10時ごろまで行った。海水データなどを採取したという。

 尖閣諸島の魚釣島から南小島、北小島を巡るルートで島の状況を洋上から確認。最大で2キロ弱程度、尖閣諸島に接近した。海上保安庁の巡視船が安全確保に当たった。

 31日午後に石垣港に戻った中山市長は取材に応じ、「今後、海域を活用していきたいと考えており、調査のデータを蓄積して生かしていきたい」と語った。中国が海警局に武器の使用を認めた海警法が施行されて2月1日で1年となるが、中山市長は「(タイミングは)全く考えていない。船の日程の都合上だった」としている。

 第11管区海上保安本部によると、調査中に中国海警局の公船が日本領海に侵入し調査船に接近したものの、午前10時20分ごろから領海外側の接続水域に出た。同本部によると、法令上、今回の調査にあたっての事前申請などは必要ないという。

 東海大の山田教授によると、以前から、市から海洋調査について相談を受けており、昨年夏ごろから調査に向けた検討が始まった。調査船は「国際航行」の資格があるという。

 市は「登野城尖閣」の字名を記した行政標柱を設置するため、国に尖閣諸島への上陸申請をしたが不許可となっている。引き続き申請を続ける意向だ。 (西銘研志郎、写真も)


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