石垣市長の尖閣視察、市政野党が抗議声明 市長は意義を強調


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尖閣諸島周辺海域での調査実施について会見する中山義隆石垣市長(左)=1日午後、石垣市役所

 【石垣】1月31日に東海大の山田吉彦教授(海洋政策)らと尖閣諸島を船上から視察した中山義隆石垣市長は1日、市役所で会見し、「尖閣諸島周辺は市の行政区域だが通常ではなかなか近づけないので、この機会を活用した」と視察の意義を語った。これに対し市議会野党市議団も1日に会見を開き、「一方的な調査活動の強行は、国際信義に反する行為で強く抗議する」との声明を発表した。

 尖閣諸島を含む市周辺海域実態調査として、石垣市が東海大に委託して実施した。予算は1100万円で、ふるさと納税を活用した。市職員ら約10人も調査に参加した。調査結果を踏まえ、市の海域保全や漁業支援などにあたるという。

中山義隆石垣市長が参加した尖閣諸島周辺海域での調査について抗議する市議会野党市議団のメンバーら=1日午後、石垣市役所

 中山市長は「魚釣島の海岸には漂着ごみが多く見られた。(島内に生息する)ヤギの食害が進んでいると感じたので早急な対応が必要だ」と語った。調査を事前に公表しなかった理由は、「他国から妨害などがあり、静かな環境で調査することができない可能性があった」などと答えた。

 中国海警法施行から1日で1年となることについては、「全く意識していない」と語った。行政標柱設置のための尖閣諸島への上陸について、改めて国に許可を求める考えも示した。

 一方、野党市議団も市役所で会見を開き、中山市長の尖閣視察を批判した。今回の調査について、中国で始まる北京冬季五輪終了後に「日中関係の取り返しのつかない代償を払うことになりかねない。その口実を与えた中山市長の責任は甚大だ」などと指摘した。

 海域調査事業の予算提案時に市議会で説明がなかったことなども訴え、27日投開票の市長選を前にした「パフォーマンスだ」などとした。(西銘研志郎)