「隠し金」本島の通貨量15倍にも 沖縄戦後、帰還者が持ち込む 中城・企画展で紹介


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中城村の久場崎港であった戦後引き揚げを紹介する企画展=1月29日、村護佐丸歴史資料図書館

 【中城】中城村護佐丸歴史資料図書館で開かれている久場崎港の戦後引き揚げ企画展では、帰還者が規定以上に持ち込んだ“隠し金”問題を、県公文書館が所蔵する琉球列島米軍政府の文書で紹介している。護佐丸歴史資料図書館の濱口寿夫館長によると、当時の沖縄民政府が米軍に送った資料では、1946~48年で沖縄本島内の通貨量が15倍に増えたとの記述があるという。

 引き揚げのあった46年当時、約30万人が住んでいた本島内に、推定約19万人の帰還者が入ってきたとみられている。帰還者の所持金は千円までと規定されていたが、実際は規定以上の金額を隠し持って帰還した可能性が高いという。

 米軍は、通貨量が増大したことで物価上昇と闇取引の活性化につながると警戒。沖縄群島知事に、規定を上回った分の通貨を没収してその報告をするよう指示するなどした。群島政府はある程度調べて報告したが、米軍は隠し金の額が「さっぱり分からない」として「指示への従い方にはなはだ不満足」といら立ったという。
 (金良孝矢)