「沖縄のピカソ」普天満宮にペンキアート奉納 新垣宮司「生命力あり素晴らしい」


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 【中部】「沖縄のピカソ」と呼ばれるダウン症の小波津有希さん(25)=西原町=によるペンキアートが、昨年12月に宜野湾市の普天満宮に奉納された。作品タイトルは「幸運を呼ぶアート」で、母親の智恵美さん(62)は「落ち込んだ人が見ると元気が出る。コロナ禍で大変だが、多くの人が作品を見て前に進んでほしい」と願った。

 有希さんは会話のやりとりができず外出もままならないが、絵画に取り組む時は画家の目になって没頭するという。有希さんのペンキアートは、さまざまな色を大胆に使い、力強さにあふれている。奉納した作品は縦73センチ、横96・5センチの大きさだ。

 奉納のきっかけは昨年5月、フランス人画家マーク・アントワーヌ・スキャルシャフィキさんと智恵美さんの交流だった。有希さんとマークさんの作風が似ており、マークさんから「自由にさせなさい」と助言をもらったという。マークさんが2011年に普天満宮へ油絵を奉納しており、智恵美さんが昨年11月にその作品を見た際に奉納への気持ちが強くなったという。

 奉納依頼をすぐに了承した普天満宮の新垣義夫宮司(81)は「有希さんの作品は明るく生命力があって素晴らしい」と話す。有希さんの作品は、参拝者が集う部屋「参集殿(さんしゅうでん)」内で、マークさんの作品の下に展示されている。

 有希さんを応援し、奉納のきっかけに携わった比屋根百合子さん(65)=市野嵩=は「人との出会いが奉納につながりとてもうれしい」と話した。智恵美さんは「有希は好きなものを自分のものにしている」と喜んだ。有希さんの作品は、親戚が住む米国2州の障がい者学校にも寄贈したという。
 (金良孝矢)

米国に送ったペンキアートを手に取る小波津有希さん(智恵美さん提供)
小波津有希さんの作品を手に持つ(左から)比屋根百合子さん、小波津智恵美さん、新垣義夫宮司。後方はマークさんの油絵=1月26日、宜野湾市の普天満宮