高齢者の消費被害防止「見守りネット」創設へ 沖縄県、22年度にも


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 高齢者や障がい者など配慮が必要な消費者を悪質な業者から守るため、沖縄県は行政や社会福祉協議会などの福祉関係者、警察、民間事業者で必要な情報を共有する「県消費者安全確保地域協議会(仮称)」(見守りネットワーク)を、2022年度にも立ち上げる方針を固めた。市町村単位の協議会設置を促す。高齢化が進む中、地域の見守り体制を強化して被害の未然防止を図る。県が22年度から実施する「第4次県消費者基本計画」案に盛り込まれ、3日の県消費生活審議会(小那覇涼子会長)で了承された。

沖縄県庁

 地域協議会は消費者安全法に基づく組織。守秘義務規定があり、被害者本人が個人情報の共有に同意しなくても、関係者間で情報を共有し対応に当たることができる。

 民間からはコンビニや金融機関、生協、新聞販売店など、日ごろ消費者と接する機会の多い事業者の参加を想定する。本人が気付かぬまま被害に遭っている場合でも、関係者が被害の可能性を察知すれば、協議会や消費生活センターへ速やかに報告・相談ができるようになる。

 20年度の県消費生活センターへの60歳以上の相談件数(契約当事者)は、前年度比122人増の1414件で増加傾向にある。消費者支援に携わる小那覇会長は、「高齢者は被害に遭っても気付かなかったり、どこに相談したらいいか分からなかったり、諦めたりすることもある。1人暮らしが増える中、地域で見守ることが特に必要になる」と協議会設置の意義を語った。

 4次県消費者計画はSDGsの考え方を新たに盛り込み「つくる責任、つかう責任」に取り組むとした。食品ロスの削減に向けたイベント実施、環境に配慮した物やサービスを選んで購入する行動を促す「エシカル消費」の意識啓発、災害備蓄食料の有効活用といった項目で新たに数値目標を設け、対策を強化する。

 成年年齢の引き下げに伴い、未成年者が保護者の同意なしで高価な買い物をした場合などに、契約を無条件に取り消すことができる「未成年者取消権」も適応年齢が18歳にまで引き下げられることから、金銭・金融教育分野での消費者啓発事業や、教員向けの研修などを拡充する。 (知念征尚)


 

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