タイヨーGC日本人利用 自衛隊員を特別割引 米軍と同等、海保職員も ロング18ホール2000円に


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
沖縄市とうるま市にまたがる米軍保養施設「タイヨーゴルフクラブ」=2021年12月(機内から撮影)

 【中部】沖縄市とうるま市にまたがる米軍保養施設「タイヨーゴルフクラブ(GC)」が観光客を含む日本人にも民間の相場より安い料金で利用を開放し、民間ゴルフ場などから「目的外利用」などと指摘されている問題で、自衛隊員らが職員間で利用していることが分かった。クラブ側もより格安な料金を設定している。識者は公務員による提供施設の特待利用を問題視している。

 タイヨーGC関係者によると、18ホールのロングコース利用料金は6500円が基本。同程度の民間ゴルフ場の半額から3分の1程度の水準となっているが、自衛隊員には、米軍関係者と同じ約2千円に設定している。海上保安庁の職員にも適用される。クラブの受付で、所属を示す身分証を提示すると割引利用が可能となるという。

 外務省は日本人の利用について「米軍との友好親善」を理由に問題ないとの立場だ。問題視しているタイヨーGC関係者は「米軍人が自衛隊員や海保職員をエスコートして一緒にプレーしているなら理解できるが、多くは米軍人とは関係なくプレーし、自衛隊員だけのコンペが開かれることもある」と証言。「友好親善とは関係ないのでは」と指摘した。

 タイヨーGCに近い、うるま市の高原ゴルフクラブ関係者は「自衛隊関係の客からタイヨーの料金を引き合いに、値下げを求められたこともあった」と明かす。「タイヨーは日本の税金も払わず、初期投資もない。不利な条件での競争に巻き込まれている」と述べ、タイヨーGCの日本人利用について是正を求めた。

 日米地位協定などに詳しい沖縄国際大の前泊博盛教授は「一般の日本人への利用開放も目的外利用だと指摘されてきた。日本政府が提供した米軍施設で特定の国家公務員が一般よりも格安でプレーできる仕組みは、法の下の平等にも反し、国民感情からも許されない」と指摘した。

 琉球新報が外務省に日本側としても利用を推奨しているかを確認すると「承知しておらず、お答えする立場にない」との回答があった。その上で「同ゴルフ場が提供施設・区域内に設置されている趣旨も踏まえつつ、節度を保っていくべき」と答えた。

 外務省は日本人によるタイヨーGCの利用について、過去には「想定していない」としていたが、「問題ない」と追認する姿勢に転じている。

 琉球新報は施設を所有する米海兵隊に割引料金設定の理由を質問したが、5日まで回答はない。

 タイヨーGCはアワセゴルフ場の返還に伴い、日本政府が整備した。整備費用は134億円。2010年に開業した。 (島袋良太)