「強い沖縄経済」へ民間アイデア募集も 沖縄振興特措法の改正案を閣議決定


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沖縄振興特別措置法など沖縄関係法案の閣議決定を発表する西銘恒三郎沖縄担当相=8日、東京

 【東京】政府は8日午前の閣議で、沖縄振興特別措置法、跡地利用特別措置法など沖縄関係5法などの改正法案を決定した。内閣府によると、5法の改正に伴い、関連の14法も付則改正の対象となる。現行法が3月31日で期限切れとなるため、本年度内の成立を目指す。西銘恒三郎沖縄担当相は同日の閣議後会見で「復帰50年の節目での改正に重い責任を感じる。成立に向け強い決意で取り組む」と述べた。

 西銘氏は、岸田文雄首相が政府方針に掲げる「強い沖縄経済の実現」のため、(1)観光リゾート(2)農水産業加工品(3)IT関連産業(4)科学技術・産学連携―の4分野を重点検討分野とし、内閣府の特設サイトを通じて、3月31日まで民間からアイデアを募るとした。

 法案改正では、沖振法の期限を10年延長した上で、5年以内の見直しを付則で規定した。国際物流や観光などの拠点整備を促す「地域・特区制度」で、税制優遇を受ける事業者に設備投資などの実施計画を義務づけ、認定要件に「付加価値増」「給与増」を加える。

 跡地利用法は、浦添市のキャンプ・キンザー(牧港補給地区)の返還を念頭に、拠点返還地の指定要件緩和などを盛り込んだ。琉球大医学部などが建設中の西普天間住宅地区跡地と同じ措置で、一体的な土地利用が可能になる。

 沖縄振興開発金融公庫法は、沖縄公庫の日本政策金融公庫への統合を10年延長し、業務範囲を拡大。これに伴い行政改革推進法も改正する。

 沖縄復帰特別措置法には、酒税軽減措置の32年5月14日までの段階的縮減と廃止を盛り込んだ。

 今後、衆参両院での審議を経て3月31日までの成立、4月1日からの施行を目指す。
(安里洋輔)

改正案決定 知事が感謝
 

 沖縄振興特別措置法など沖縄関連法の改正案が閣議決定されたことを受け、玉城デニー知事は8日、「県が強く求めていた重要な項目を努力義務規定として新たに盛り込んでもらった。復帰50年の節目にスタートする新たな沖縄振興で『安全・安心で幸福が実感できる島』の形成を目指していく」などとするコメントを発表した。

 玉城知事は同日、西銘恒三郎沖縄担当相や自民党沖縄振興調査会の小渕優子会長、公明党の石井啓一幹事長らに電話やオンライン会議で謝辞を述べた。

 改正法案は「離島と北部地域の振興」「子どもの貧困対策」「脱炭素社会の実現」「多様な人材育成のための教育の充実」「デジタル社会の形成」の項目を努力義務と条文に明記。法律の期間を10年としつつ、必要があれば「5年以内の見直し」を付則に規定した。

 玉城知事は「規定が盛り込まれた趣旨を踏まえ、県としても新たな振興計画に基づく施策の実施状況などをしっかりと検証していく」とした。