沖縄の観光収入、目標1.2兆円 延べ宿泊者数4200万 県第6次計画


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首里城公園を訪れる観光客ら(資料写真)

 県文化観光スポーツ部は10日、第3回県観光審議会を那覇市のホテルサンパレス球陽館で開いた。会議では第6次県観光振興基本計画(2022~31年度)の目標値について県が報告し、委員らは年間の観光収入を1.2兆円、人泊数(延べ宿泊者数)を4200万人泊に設定することを確認した。

 観光収入は1.2兆円、1.3兆円、1.4兆円の3案があったが、実現性が高い1.2兆円が採用された。21年11月開催の第2回会合では、これまで沖縄観光の成長指標としていた入域観光客数を、「人泊数」に変える方針を提案していた。

 入域観光客が年間1200~1300万人程度と想定した場合、これらの目標値を達成するには1人当たりの消費単価を、約9万5千~10万円に引き上げる必要がある。新型コロナウイルス感染症の流行前となる19年の消費単価は約7万4千円のため、2万円以上の引き上げとなる。

第6次県観光振興基本計画について意見を出し合う県観光審議会の委員ら=10日、那覇市久茂地のホテルサンパレス球陽館

 県は消費単価の向上策として、観光需要の平準化を提案している。沖縄の修学旅行トップシーズンとなる9月下旬~12月は、全国の観光トップシーズンの10~11月と重複する。修学旅行の一部をプロスポーツキャンプなどが実施される1~2月に分散させることで、一般観光客を増やす戦略を打ち出している。

 審議会委員の東良和日本旅行業協会理事は「修学旅行が10~12月に集中しているのは、航空会社の努力で航空運賃が安くなるからだ。他の時期に移すなら、運賃の割引分を補填(ほてん)するなど施策が必要だ」と話した。

 同計画は4月から始まるが、新型コロナの影響で足元の観光が落ち込んでいる。県レンタカー協会の白石武博会長は「事業者の借金が積み重なり、観光地として磨き上げる体力がない。実態を調査して、観光の復興について盛り込むべきだ」と訴えた。

 審議会は次回3月の開催が最後となり、観光従事者や観光客の満足度、県民の幸福度なども数値目標として提案する予定。県は計画を5月に公表することにしている。 (中村優希、写真も)