
以前の日本の飲食店で具材や味付けに注文をつけられるのは、「よほどの常連さん」の特権だったように思う。しかし今はそれも大きく変わった。ラーメン店では麺のゆで方からスープの濃さ、トッピングの数々まで指定できる。好きなものを好きなように食べたい「カスタマイズ」大好きな台湾出身者としては非常にうれしい。
台湾名物の一口唐揚げ「塩酥鶏」の屋台で注文ひとつするにしても、「九層塔(バジル)は入れるか?」「辛さはどうするか?」などとやりとりするのが台湾では普通。新鮮な海産物が自慢の店では、店先の冷蔵ケースに並んだ魚介を眺めながら、「これは揚げ物がいい」「それは朝採れだから蒸し物だろう」などと、品定めしつつやり取りするのも食事前の楽しみの一つでもある。

注文となると当然「言葉の壁」が問題になるのだが、今期待しているのがIT技術の活用だ。沖縄でもタブレットやタッチパネルで注文できる店が次第に増えてきている。メニューの言語が切り替えられたり、写真をタップするだけで簡単に注文できたり、QRコードを読み込めば、客が自分のスマホで注文できる店も出てきた。
沖縄のフリーWi―Fiのエリアも広がり、さまざまな翻訳アプリも簡単に使えるようになった。私たちのファミリーには音声通訳機能が付いたルーターを携帯する人も多い。
翻訳の精度はまだまだだが、沖縄料理のメニューもスマホをかざすだけで自動翻訳できる。IT技術が言葉の壁を少しずつ薄くしてくれている。
(口述・沖縄彭大家族 彭國豪、翻訳と構成・渡邉ゆきこ、毎月第1・3火曜日掲載)