【識者談話】倉敷ダムに不発弾 戦後処理まだ終わらず、政府も対応を(桜井国俊・沖大名誉教授)


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 今回発見された不発弾やドラム缶は戦時中のものと推定されている。恐らく水底にあったもので、水で洗われ、今から分析してもほとんど何も出ないのではないか。現時点で健康への影響がどの程度あるかは不明だ。

 日米地位協定では、返還された基地跡地の環境浄化は日本政府が行うことになっている。仮に今回の不発弾などが戦時中のものだとしても、返還に際し米軍と日本政府の引き継ぎで確認できたのではないか。ダムの設置・返還時にどのような調査が行われたかなど記録を確認すべきだ。

 水源地の管理は非常に重要で、飲み水の汚染はあってはならない。倉敷ダムでは2009年にも小銃弾が発見されたというが、県はなぜ公表してこなかったのか。これは大きな問題で、県民に事実経過を知らせる必要があったと考える。

 現在ダムの水位は下がっているが、水に覆われている場所から銃弾が新たに見つかる可能性はある。いまだに戦後処理が終わっていないことが浮き彫りになった。戦争がもたらした数々の問題から人々の命と暮らしをどう守るか。県だけでなく、政府にもその対応が問われている。

 (環境学)