泡盛普及に追い風「世界中に知ってもらえる」 ユネスコ無形遺産申請に関係者から喜びの声


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 国の文化審議会は25日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産候補に、泡盛や日本酒、焼酎などの「伝統的酒造り」を選んだ。ユネスコ登録に向けて一歩前進したことで、泡盛の酒造所や普及に尽力してきた関係者からは喜びの声があがった。

 県酒造組合の佐久本学会長は「泡盛は黒麹菌を使うなど独自の製法を世界中に知ってもらえるチャンス。古酒や年代物もアピールするきっかけにしたい」と声を弾ませる。組合は21年8月に専門部会を立ち上げるなど、海外輸出にも力を入れている。ユネスコに登録されればさらに追い風となる。

 ただ、30年古酒など年数を重ねた酒は多く出荷できない。そのため、一般酒や年数の浅い古酒などを中心に輸出し、希少な酒は沖縄に誘客して飲んでもらう流れを目標としている。佐久本氏は「良い古酒は沖縄でしか飲めないとなれば、観光の消費単価向上にも貢献できる」と意気込んだ。

 30年以上泡盛の普及活動に携わってきた、泡盛マイスター協会の新垣勝信名誉会長は「泡盛を世界に広めることができれば、なお一層喜ばしいことだ。世界に認めてもらえたらうれしい」と登録へ期待が高まっている。「登録されたら、県内46酒造所がより良い泡盛を造るきっかけになる」と話した。

 那覇市の泡盛専門バー「泡盛倉庫」店主の比嘉康二氏は、米国など海外で泡盛の魅力発信に取り組んできた。「泡盛の歴史と誇りをしっかり伝えることと、場所に合ったおいしい飲み方を伝えることが重要だ」と強調する。長い歴史の中で洗練され成熟されてきた泡盛に、海外の人々がわくわくしている様子を見て、世界でも受け入れられると確信している。

 比嘉氏は「泡盛は長い歴史の中で人の心を豊かにしてきた。本質を見据えて、泡盛のある豊かな日常をいかに具体的に提案できるかが大切だと思う」と語った。
 (中村優希まとめ)