「国交相決定の内容審理を」 辺野古抗告訴訟、沖縄県が上告理由書を提出


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 名護市辺野古の新基地建設を巡り、県による埋め立て承認撤回を取り消した国土交通相の決定は違法だとして、県が決定の取り消しを求めた抗告訴訟で、県は24日、最高裁判所に上告理由を説明する「上告受理申立て理由書」を提出した。県は今回の件で裁判を起こす資格がないとした昨年12月の福岡高裁那覇支部判決は誤っており、最高裁で国交相決定の内容に踏み込んで審理すべきと主張した。

 裁判を受ける際には、裁判で救済されるべき「法律上の利益」がなければならないとされる。高裁判決は、この「利益」は、私人の権利・利益か、同等のものだとした上で、県が守ろうとしている利益はそれに当たらないと判断した。

 これに対し、県は24日に提出した理由書で、行政訴訟法が想定している「法律上の利益」は私的な権利・利益に限られておらず、公的な利益も裁判で救済されるべきだと反論した。裁判を起こしたこと自体が不適法だとして県の訴えを却下した高裁判決は誤っていると批判した。

 理由書は冒頭で、沖縄戦やそれに続く米軍占領下で「銃剣とブルドーザー」によって基地が拡大された歴史に触れている。県民投票についても言及した。今回の裁判で「住民自治、団体自治が何のために憲法に存在するのかが問われなければならない」と指摘した。
 (明真南斗)