【辺野古問題取材班】米軍普天間飛行場の沖縄県名護市辺野古への代替施設建設に伴う工事が進む辺野古沖の「長島」北側の海域に、約100体のハマサンゴが散乱している問題で、サンゴ移植の専門家は「人為的に採取されたものだ」との見解を示した。
サンゴの散乱について琉球新報は沖縄防衛局に問い合わせたが、4日午後8時までに回答はなかった。サンゴの移植作業を受託するエコーは「守秘義務があり答えられない。発注元に問い合わせてほしい」と述べるにとどめた。
現場は「K8」護岸の延長線上にあり、沖縄防衛局が昨年8月にサンゴの移植作業を始めた「P地区」と呼ばれる海域。沖縄防衛局は全長約515メートルの護岸を整備する予定で、現在は約250メートルまで完成している。 護岸の延伸上にあるサンゴ移植を終え次第、防衛局は護岸を約190メートル延ばす工事を始める方針だ。
散乱したサンゴの画像を確認した東京経済大の大久保奈弥准教授(生物学)は「写真にあるような塊状のサンゴは、海底の基盤としっかりくっついている。現在の沖縄の天候では、自然に基盤から剝がれることはまずない」と述べ、人の手が加えられた状態だとの見方を示した。今回見つかったサンゴは切断面に藻類が生えたものやひっくり返ったものもあることから、「一定の時間が経過していると考えられる」とも指摘した。
沖縄防衛局はサンゴの移植に関し、環境監視等委員会に「運搬と固定の短縮」という移植手順や、「ストレスを最小限にする」と明記した資料を示している。大久保准教授は「沖縄防衛局が実施している移植作業の際に発生したものであれば移植手順が順守されておらず、物として放置している状態だ。ストレスを最小限にしているとは言いがたい」と指摘した。(松堂秀樹・明真南斗)