【本部】沖縄美ら島財団総合研究センター(本部町)と水産研究・教育機構水産技術研究所(石垣市)の共同研究グループはこのほど、北太平洋の「天皇海山」海域で、宝石サンゴを採集・調査し、3種の新種を発見した。同財団などが4日に発表した。
「天皇海山」海域はロシアのカムチャツカ半島からハワイ方面に南北に伸びる。1960年代に宝石サンゴの漁場が発見され、日本や台湾の漁船が大量の宝石サンゴを漁獲してきた。一方で、宝石サンゴ類の詳細な調査は2006年まで行われてこなかった。
財団は水産研究・教育機構が2009~12年に「天皇海山」海域の南端部で採掘した宝石サンゴ類のうち、22の標本の調査を実施した。その結果、形態の違いや遺伝子の分析などにより8種類に分類したうち、3種類が新種であると判明。3種それぞれに「ヘミコラリアム・カイヨウ」「ヘミコラリアム・ミュジッカエ」「ヘミコラリアム・トキヤスイ」と学名を付けた。
今回の調査に携わった、財団総合研究センター統括の野中正法さんは「海洋資源を守るためには、まずどのような種類があるか知ることが必要だ」と研究の意義を強調。「新種であることを証明するのは難しく、地道な研究が求められる。過去の文献にできる限り目を通した」と振り返った。財団は「今後も県内外における生物多様性維持のため活動を推進していく」としている。
研究の内容は、昨年10月、日本動物分類学会の学術誌「Species Diversity」に掲載された。
(長嶺晃太朗)