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女性を休ませてください…社会の仕組みに怒りませんか?<伊是名夏子 100センチの視界から>117


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
桃の節句のお祝いをしました

 本日3月8日は国際女性デー。それに甘えて、パートナーの愚痴を一つ書かせてください。彼は今、一カ月の出張中。いなくなる前にいろいろやってもらいたいと思いつつ、出張前はより忙しくなるので、会話すら少なくなり、あれよあれよというまにいなくなってしまいます。

 私は仕事や用事で出掛ける時は、子どものご飯の支度、シッターさんの手配、学校や習い事の準備、掃除など、できる限りのことをして出掛けるのですが、丸投げして仕事に向かう、向かえるパートナーが何ともうらやましく、怒りも沸いてきます。この怒りを彼自身にぶつけることもありますが、社会構造の問題でもあると気づきます。

 男性が働きやすいように作られた会社や社会の仕組み、言い換えると子育てしながら働くのが本当に難しく、女性が仕事を辞めたり、就業時間を短くしたりしないといけないのが問題なのです。妊娠、出産、育児の休暇が取りにくかったり、保育園を見つけにくかったり、就学しても子どもが安心できる居場所がなかったり、シッターが高額、もしくは使いにくい仕組みで使えなかったりと、子育てしづらい環境がありすぎるのです。

 女性は仕事を継続しにくく、昇給もしにくく、男性のみに認められている手当があることもあり、平均収入は男性の7割程度。家庭の問題と言うよりも、社会の仕組みのせいで、夫婦が対等でいられなく、どちらかが損をしないと、もしくは無理をしないと子育てができないのです。

 そしてさらにつらいのが、この現状や、私の気持ちをまわりに話すと「仕方ないでしょう、彼も頑張っているのだから」と彼を擁護したり、私が文句ばかり言っているように思われてしまうこと。何も解決しないだけでなく、私が悪いと言われているようで、より疲れと怒りが。

 子育てがうまく回っている家庭は、パートナーシップが良く、頼れる場所や働きやすい環境、金銭的余裕があるのだと思いますが、うまくいかない家庭に対しては個人の責任、特に母親が家庭をうまく回していないからだと考えられることもあり、そこも問題です。

 女性のみなさん、今日は女性ばかりが無理をして、損をする社会の仕組みに怒って、堂々と休みませんか? 男性のみなさんは責められている気持ちがするかもしれませんが、求めているのは社会を変えることです。構造を変えるために動いて、女性を休ませてくださいね。


 いぜな・なつこ 1982年那覇市生まれ。コラムニスト。骨形成不全症のため車いすで生活しながら2人の子育てに奮闘中。現在は神奈川県在住。