県内に3校ある県立中学校の入試で、女子は男子よりも合格しづらい傾向が続いていることが本紙調べで分かった。女子の方が男子より志願者が多い状況が例年続いているが、募集定員が「男女同数を基本」としているからだ。県教育委員会は「女子が男子を上回る点数を取っても、定員の関係で不合格になることはある」と女子が不利な状況となっていることを認める。県立中受験を予定している保護者からは、疑問の声が上がっている。
県立中は与勝緑が丘、球陽、開邦の3校。各校の入学定員は男女40人ずつ。球陽と開邦は18年度まで、男女20人ずつだった。
本紙が調べた2016~22年度の入学志願状況をみると、与勝緑が丘は19年度以降、球陽と開邦は全ての年度で女子の志願者数が多かった。
各校で、男女の志願者数の差が最も大きかった年度は、与勝緑が丘は22年度、男子68人に対して女子の志願者数は90人だった。球陽は18年度、男子130人に対して女子が181人。開邦は19年度、男子268人に対して女子357人だった。
男女別定員制をとる根拠について県教委は、「男女が対等に社会参画することを目指す上で、男女比のバランスを配慮することが、入学後の学校運営などの面からも望ましい」などと説明した。
県教委は、合格者の男女別最低得点を比較するなど、性別による合否への影響を積極的に調べていない。県立高校では男女別定員制をとっていないこととの整合性については、「高校生になると、男女に心身の発達の差はほとんどなくなるから」と説明した。
入試は県による適性検査の他に、球陽・開邦の2校は独自検査(算数)を実施している。面接結果も加味して、最終的に男女同数程度を選抜する。
同じように県立中に男女定員を設けていた佐賀県では問題視する声が上がったことをきっかけに22年度から撤廃される。都立高も昨年、男女別の定員を段階的に廃止することを発表している。 (嘉数陽)