【八重瀬】八重瀬町安里の海岸にある崖、通称「ギーザバンタ」から大量の水が海に流れ出ている。湧き水にしては量が多い。おきなわ環境クラブの下地邦輝会長から情報が寄せられた。聞けば近くにある慶座(ぎーざ)地下ダムの水だという。本来は水道水などに活用されるはずなのになぜ―。りゅうちゃんねる取材班は水の専門家や地下ダムを所管する沖縄総合事務局、町内の水道水を管理する南部水道企業団に聞いてみた。
地下ダムは総合事務局が造設し、2000年12月に完成した。ダム水の使用先は水道水と農業用水の二つに枝分かれしている。水道水を管理するのが企業団で、農業用水は総合事務局と、二つの機関にまたがっている。
元県衛生環境研究所所員で県内各地の水質調査などをしている同環境クラブの下地会長の試算によると、地下ダムからは毎日8200トンの水道水が使用可能という。しかし、水道水として使うためには硬度などを下げる必要があり、県企業局の水を加えて希釈するため、地下ダム由来の使用量は1日当たり約2700トンが上限となり、残り約5500トンが希釈されずに海に流れ出ている。
企業団は、(水道水の)使用水量の国への申請は1日当たり約2500トンとなっており、現行で給水量に問題はないとの認識だ。海に流れ出ているのは「通常のダムでも満水時に発生する『オーバーフロー(越流)』と同じだ」と説明する。
これに対して下地会長は「真水が捨てられているも同然だ。水は大切な資源であり、有効活用すべきではないか」と指摘し、インフラ整備で流れ出る水量を減らすことは可能だと訴えている。
(照屋大哲)
「もったいない」認識しているが…地下ダム水放流の解決を阻む壁 に続く