メッシュ、患者搬送休止 伊江島小型機墜落 事故調、原因究明へ


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重機を使い小型飛行機の残骸の一部を取り出す作業をする航空事故調査官ら=14日午後4時半ごろ、伊江村の伊江島空港(中川廣江通信員撮影)

 離島医療を支援するNPO法人メッシュ・サポート(塚本裕樹理事長)が所有する小型航空機が沖縄県伊江村の伊江島空港南側に墜落し、訓練生と指導員2人が死亡した事故を受け、メッシュは13日、ホームページで航空機の運航を自粛すると発表した。国土交通省運輸安全委員会から派遣された航空事故調査官が13日に現地入りし、原因究明に向けた調査が始まっている。 

 メッシュは事故を起こした機体とは別に、伊江島を離着陸拠点にしていた「やんばるレスキューヘリ」の休止も決めた。塚本理事長によると、事故原因究明に集中するためで、現時点で再開のめどは立っていないという。

 へき地や離島などのヘリを使った患者搬送は、県の救急医療用ヘリ(ドクターヘリ)事業があるが、メッシュの搬送事業も、北部地域を中心に医療の一翼を担っていた。

 13日に現地入りした航空事故調査官は、県警の捜査員らと共に散乱した機体の残骸や破損したフェンスの状況を確認。14日は重機を使って機体の残骸の一部を取り出す様子などが確認された。

 調査官によると、機体にフライトレコーダーは搭載されていなかった。同機に搭載は義務付けられていないという。初日の現場確認を終えた吉田眞治調査官は報道陣の取材に応じ「機体の損傷はかなり激しい。できるだけ早期に報告書を公表できるようにしたいが、(調査に)どのぐらいかかるか現時点で分からない」と述べた。調査は15日も行われる予定。

 メッシュの塚本理事長によると、離陸前の検査で機体に異常は見当たらなかったという。事故で亡くなったのはパイロット訓練生の谷津裕通さん(61)と、監督官の濱本克幸さん(73)。塚本理事長によると12日午後0時35分ごろから、谷津さんの操縦で濱本さんを乗せ伊江島空港で飛行訓練を開始した。4月からの勤務に向け訓練中だった。

 塚本理事長は「年々、メッシュへの出動要請は増えている状態で、パイロットの人員を確保する必要があった」と話し、スタッフを増員し要請への対応を拡充する矢先だったと説明した。 (長嶺晃太朗まとめ)