憲法53条沖縄訴訟 きょう二審判決 国会召集に応じなかった内閣対応、憲法判断が焦点


社会
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国会議事堂(資料写真)

 憲法53条に基づき、野党が要求した臨時国会の召集に内閣が3カ月以上応じなかったのは、違憲か否か―。県選出国会議員ら4人が、2017年当時の安倍内閣の対応について違憲性を問う訴訟の控訴審判決が17日、福岡高裁那覇支部で言い渡される。一審は原告の請求を退けたものの、内閣が召集決定をすべき憲法上の義務があると認定。控訴審での判断が注目される。

 「憲法に『しなければならない』と明確に書かれている。これほど分かりやすい文言はない」。沖縄弁護団事務局長の小口幸人弁護士はこう強調する。憲法53条は衆参いずれかの総議員の4分の1以上が臨時国会を求めた場合、内閣は召集決定しなければならないと定めている。ただ、期限は明記されていない。

 17年6月、野党は森友、加計学園問題の疑惑解明を求めて臨時国会の召集を要求したが、安倍内閣は3カ月以上放置。同年9月28日に召集したが、冒頭解散し、議論のないまま閉会した。

 こうした対応は憲法に反すると、東京、岡山、沖縄の3地裁で提訴した。国側は内閣による臨時国会の召集決定は、裁判所の審査対象にならないと主張している。

 沖縄訴訟の原告は赤嶺政賢衆院議員、伊波洋一参院議員、照屋寛徳元衆院議員、糸数慶子元参院議員の4氏。20年6月の那覇地裁判決は、内閣が召集決定をすべき憲法上の義務と法的義務があると認定し「違憲と評価される余地はある」と指摘。ただ、国会議員個人に対しての権利侵害とは認めず、憲法判断は示さずに請求を棄却した。

 東京、岡山の訴訟は控訴審判決が出ており、いずれも原告側の請求が退けられた。小口弁護士は「那覇地裁判決は、東京、岡山の判決に比べ、司法の役割を最低限果たした。高裁那覇支部も責任を果たしてほしい」と期待を寄せた。