元里親「子を考え判断を」 控訴審 委託解除取り消し求める


社会
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 生後2カ月から養育していた児童(5)の里親委託を児童相談所が1月5日付で一方的に解除したのは、児童の心の平穏や健全な成長を無視した不当な対応だとして、里親だった那覇市の夫妻が、県に解除の取り消しを求めた訴訟の控訴審第1回口頭弁論が15日、福岡高裁那覇支部で開かれた。原告の小橋川学さん(56)が意見陳述し「形式的な理由で判断するのではなく、児童のことを考え、踏み込んだ判断をしていただきたい」と訴えた。

 県側は答弁書で「児童福祉法は里親の利益を法律上保護しておらず、夫妻は原告適格を欠く」などとして控訴棄却を求めた。

 小橋川さんは法廷で「里親ではあるが、5年間も生活を共にし、児童のことは誰よりも理解している。なぜ裁判を起こす権利さえないのか」と一審判決を批判した。

 夫妻は委託措置解除が決まった後の昨年12月28日に提訴したが、那覇地裁は「委託措置解除は訴訟の対象となる処分に当たらず、原告適格もない」などとし、その日に訴えを却下。児童は1月4日、夫妻から児相側に引き渡された。