「死刑廃止を」沖縄弁護士会が初決議 3人執行に抗議声明も


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沖縄弁護士会の「死刑制度の廃止を求める決議」について説明する畑知成会長(右)と釜井景介弁護士=16日、那覇市松尾の沖縄弁護士会館

 沖縄弁護士会の畑知成会長と同会死刑廃止問題検討プロジェクトチーム(PT)長の釜井景介弁護士は16日、那覇市松尾の沖縄弁護士会館で記者会見し、死刑制度の廃止を求める決議を発表した。同会が決議で死刑廃止を求めるのは初めて。代替刑の導入と廃止までの間の死刑執行停止も求めた。

 同様の決議は全国13の弁護士会と一つの弁護士連合会が採択している。他の決議と比べ、沖縄弁護士会の決議は「犯罪被害者支援の抜本的拡充」を廃止の前提としたのが特徴という。

 決議は、冤罪(えんざい)や量刑上の誤りなど誤判による死刑は避けなければならないが、人が裁く以上、誤判は不可避だと指摘し「誤判による死刑を避けるためには死刑を廃止するほかない」と、廃止を求める理由を説明した。廃止後の最高刑には、日本弁護士会が提案する終身刑を支持した。

 同会は2012年10月にPTを発足し、死刑制度に関する議論を深めていた。決議文を作成するに当たり、会の犯罪被害者委員会から意見を聞くなど、被害者の視点を重視した。

 決議は11日の臨時総会で採択した。会員281人中、委任状を含め199人が参加し、賛成153人、反対40人、棄権6人の賛成多数だった。

 畑会長は「会員の中でも決議に反対する意見はあるが、十分に議論を尽くし、おおむね納得してもらった。反対意見も尊重し、被害者支援に取り組む」と説明。「会としての立場を明確に示すことで議論が進むことを期待する」と話した。

 PT長の釜井氏は「被害者支援と死刑廃止は対立構図ではなく、両立できるものだ」と話した。

 同会によると、復帰後、県内の死刑判決は1件あるが、高裁で取り消されたため、確定した死刑判決はないという。
 (稲福政俊)