日本のGDPが伸びないのはなぜ?サントリー新浪社長が考える日本的経営の課題


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日本経済の課題について語るサントリーホールディングスの新浪剛史社長=14日、那覇市泉崎の沖縄ハーバービューホテル

 沖縄経済同友会(渕辺美紀代表幹事)の3月例会が14日、那覇市の沖縄ハーバービューホテルで開かれ、サントリーホールディングスの新浪剛史社長が登壇した。「日本経済・日本的経営の現状・課題と対応策について」を演題に講演した。

 政府の経済財政諮問会議で民間議員を務める新浪氏は、日本の国内総生産(GDP)が伸び悩む理由について、民間企業が有効な投資をしていないことが要因とした。特に、ITへの投資額はアメリカと圧倒的な差がついている。

 一方、企業の預貯金と家計金融資産は、年々右肩上がりで増えており、新浪氏は「資産が乏しくて貧しいのではなく、資産を有効に使わないからGDPが伸びない」と話した。民間企業が科学技術やIT技術に積極的に投資して生産性を上げ、賃上げする必要があるとした。

 新浪氏の前職はローソンの社長で、業績を立て直した経験を持つ。一部の人が会社全体を動かす中央集権ではなく、全国7カ所の各支社長が意思決定できるよう育成に取り組んだ。また、商品開発経験がない社員でおにぎりを開発してヒットさせるなど、社員の成功体験づくりも大事にしている。

 一方、会社の経営理念に理解が得られない社員やフランチャイズ加盟店には退職してもらうなど、時には成長の妨げと判断すれば切る決断も下す。新浪社長は「挑戦する人を妨げる者は整理する必要がある。きれい事ではなく、つらいこともやらないといけない。経営には泣き笑いがあるが、周りの人に喜んでもらうことが大事だ」と話した。
 (中村優希)