2017年に当時の安倍内閣が、野党側が要求した臨時国会の召集に3カ月以上応じなかったのは、国会議員の要求による召集の決定を内閣に義務付ける憲法53条に違反するとして、県選出の国会議員と元議員の4人が国に計4万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が17日、福岡高裁那覇支部であった。谷口豊裁判長は、訴えを退けた一審那覇地裁判決を支持し、原告側の控訴を棄却した。内閣の国会召集は憲法上の義務と認めた。原告側は即日上告した。
国側は内閣の臨時国会の召集決定は、司法審査の対象にならないと主張していた。17日の二審判決も一審判決に続き、司法審査の対象になると判示した。召集義務について「多数派・少数派を含めて国民の意見を国会に反映させるという観点からも、極めて重要な憲法上の要請である」と指摘した。
内閣は合理的な期間内に召集決定する義務を負うとする一方で「国会と内閣という国家機関の間の義務」だと指摘。内閣と国会議員個人との関係で、国家賠償法上の責任は認められないとして請求を退けた。17年の安倍政権の対応が違憲かどうかは判断しなかった。
憲法53条は衆参いずれかの総議員の4分の1以上が臨時国会を求めた場合、内閣は召集決定をしなければならないと定めている。17年6月、野党は臨時国会の召集を要求したが、安倍内閣は3カ月以上放置した。