エビ養殖業者が大宜味村を提訴 感染症で予告なく事業取り消したと主張


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国内で初確認となるエビの特定疾病「急性肝膵臓壊死症(ANPHD)」が発生した養殖場で処分されるバナメイエビ(県水産課提供)

 【大宜味】大宜味村内のバナメイエビ養殖場で2020年10月、甲殻類の感染症「急性肝膵臓壊死(すいぞうえし)(AHPND)」が国内で初めて発生し、村が事業承認を取り消した件で営業利益が損なわれたなどとして、同村の養殖業者「琉球フーズ」が村に損害金の一部として1億円と、遅延損害金を求める訴えを那覇地裁名護支部に起こした。訴状は2月28日付。

 訴状によると、AHPNDによって業務を停止していた琉球フーズは、まん延防止措置命令解除後の事業再開に向け準備をしていたが、21年3月に村が予告なく「住民との調和が図られない事業は認められない」として事業を取り消したと主張する。同年10月にも再開の申請を不承認としたことで事業を営む権利を侵害されたとしている。

 琉球フーズ側は「事業の取り消し処分は不利益処分に当たるが、聴聞の手続きがとられておらず、村行政手続条例に違反する」と指摘。今後3年間の営業利益や弁護士費用など計2億1362万円の損害金の一部に当たる1億円の支払いを村に求めた。

 大宜味村は「訴状をまだ見ていないので、今後確認した上で対応する」としている。
 (松堂秀樹)