キャンプ、ひとり親家庭でも気軽に 子どもの自然体験を支援する夫婦の思い


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企画した佐喜真庸市さん(左)のレクチャーを受けながら火起こしに挑戦する参加者ら=2月26日、沖縄県内

 コロナ禍も相まって、県内ではキャンプブームが広がっている。ひとり親世帯にも気軽にキャンプを楽しんでもらいたいと体験支援をボランティアで始めた夫婦がいる。元教員の佐喜真菜々子さん(34)と庸市さん(34)夫婦は「どのような状況にある子どもでも、等しく自然体験ができる社会にしたい」と話す。

 元々キャンプ好きの2人は、休日にはテントを張って家族で楽しんできた。菜々子さんは「自然体験活動は子どもの自尊感情を高め、親のリフレッシュにもつながる」と効果を語る。一方、昨今のキャンプブームで「子どもたちの間で自然体験の格差が広がっている」とも指摘する。

 菜々子さんによると、県内施設でキャンプをするには、食費にもよるが1世帯当たり平均1泊5~6千円はかかる。テントの組み立て方など一定の知識も必要となり、ひとり親にはハードルが高い。そこでプロジェクトでは、ひとり親世帯の参加費を1世帯500円に設定した。道具や知識がなくても、県キャンプ協会事務局長を務める庸市さんのレクチャーを受けながら体験できる。

 2月26日に開催されたプレキャンプには、ひとり親世帯2組が参加し、1泊2日のキャンプを楽しんだ。子どもたちはテント張りや工作、カレー作りに挑戦した。多和田あかねさん(33)は7歳と5歳の娘と参加。初キャンプという多和田さんは火起こしにも挑戦し「キャンプはずっとやりたかったけれどハードルが高かった。経験できてよかった」と話した。咲真(えま)ちゃん(5)は廃油でキャンドルを作り「楽しかった」と笑顔を見せた。

 プロジェクトでは、キャンプで使う消耗品を購入する資金調達のためにクラウドファンディングを始め、続々と資金が集まっている。一方、ひとり親世帯の参加希望者はまだ少ない。「届くべき人に届いてほしい」と考えている菜々子さんは「キャンプを通して、親同士のつながりもできる。ぜひ気楽に参加してほしい」と呼び掛けた。

 問い合わせは、キャンプつなげるプロジェクト沖縄ccp.okinawa@ymail.ne.jp
 (田吹遥子)