名護市辺野古の新基地建設で沖縄防衛局は22日までに、辺野古崎東側の大浦湾側にある小型サンゴ約3万9千群体の移植を終えた。建設予定地の移植が完了したことから、防衛局は近隣の「K8護岸」について週内にも延伸工事に着手する見通し。21日は延伸工事の準備作業を実施した。延伸する護岸から約200メートル離れた地点には大型サンゴが生息しているが、同局は移植しないまま工事を強行する構えだ。
防衛局は18日、サンゴ移植の完了を県にメールで報告した。移植が終了したのは辺野古崎周辺の「J、P、K」と呼ばれるサンゴ生息域。防衛局は昨年7月に県の許可を得て以降、作業を進めていた。
防衛局は2019年3月に「K8護岸」の工事に着手した。全長515メートルの工事のうち、サンゴ生息域と重ならない約250メートル分を完成させていた。沖縄防衛局は移植完了前の昨年10月、約190メートル分の延伸工事の入札公告をした。
一方「K8」護岸の延伸工事現場付近には大型サンゴ2群体も生息している。昨年12月、沖縄防衛局はこのサンゴを含む移植許可を県に申請したが、県は軟弱地盤の存在などを理由に不許可にし、実施の見通しは立っていない。防衛局はこのサンゴを移植しないまま着工する見通しだ。
防衛局は今年2月に有識者を集めた環境監視等委員会を開き、護岸工事に伴う濁りの発生度などについてシミュレーション結果を報告した。汚濁防止枠の設置などで、環境保全目標値を超える濁りは分布位置には拡散しないとし「生息環境は維持される」としている。
「J、P、K」地区のサンゴ移植を巡って、県は7月、高水温期回避などの許可条件からの逸脱理由に許可を撤回した。防衛局は農相に行政不服審査法に基づく審査請求をし、8月に農相が県の許可撤回を執行停止した。12月には許可撤回自体を取り消した。
(塚崎昇平まとめ)