民間の生活困窮者支援、持続可能な活動にするには?不登校支援NPO「ちゅらゆい」金城代表理事に聞く


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「『何のために活動しているのか』が一番重要」と話すNPO法人ちゅらゆいの金城隆一さん=那覇市のkukulu

 おきなわこども未来ランチサポートなど、民間による生活困窮世帯などへの支援活動が活発化している。しかし実際の活動現場では、運営費や開催場所に困り、活動の継続が難しいところも出ている。現場の厳しい実情や、無理をせず長く続ける“先駆者”の事例を紹介し、市民活動の今後を考える。(黒田華)

 NPO法人ちゅらゆいは、運営していた不登校の子どもたちの居場所「kukulu」(那覇市)が委託事業の終了で運営の危機に直面し、市民や企業から寄付を募って継続させてきた。代表理事の金城隆一さんに、持続可能な民間の活動や可能性を聞いた。

 ―国や県の貧困対策事業もあり、市民や企業の活動が活発だ。現状をどう見るか。

 「沖縄は子ども食堂に公的予算が入ったため、地道な市民活動というより“促成栽培”で増えた面がある。関心を持つ人が増えたのはいいことだ。食事は必要で、活動にも参画しやすいので入り口はそれでいい。だが『与えて終わり』にならず、その人自身が課題を解決する力を付けるために何が必要かという視点に移ることが重要だ。また企業には企業にしかできないこともある。従業員の働き方や給与が貧困にも直結する」

 ―経済的な活動基盤や運営スキルに乏しい市民の活動に限界も出ている。

 「マネジメントの問題だ。福祉業界でも事業所に経営の視点がないと利用者が不幸になる。ただ小さな市民団体には難しいことも多い。運営資金の寄付よりも、経営やマネジメントにたけた企業が手助けする方が役立つこともある」

 「一番大事なのは『何のための活動か』。自分にとっては10年後にこの子どもや若者が自立して食べられるようになっていること。何にどこまで参加するかは各自が決めればいいが、現場を知る市民が必要な政策を提言し、議員を送り出して公的サービスを作っていくこともできる。そうすればブームは文化になる」

 ―行政の役割は。

 「本当に食べるものがないといった経済困窮世帯へのセーフティーネットや、専門性が必要な対応には公的な財源が必要だ。行政には、社会課題に気付いた民間の意見を取り入れ、一緒に解決方法を考えて取り組みながら、市民活動を育てる視点も持ってほしい」