M7級地震「沖縄・与那国周辺で30年以内90%」 政府調査委が長期評価


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沖縄本島で震度5弱を観測した地震の影響で、屋根瓦が落下した民家=2010年2月27日、うるま市石川

 政府の地震調査委員会(委員長・平田直東京大教授)は25日、南海トラフ巨大地震の想定震源域に隣接する日向灘や南西諸島などで新たにマグニチュード(M)8の巨大地震3タイプが起き得るとする「長期評価」を公表した。2011年の東日本大震災(M9・0=東北地方太平洋沖地震)を受けて04年版を見直した。沖縄・与那国島周辺のM7級は30年以内で90%以上の高確率とした。

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 新たに想定された巨大地震3タイプのうち二つは四国と九州に挟まれた日向灘と、台湾に近い与那国島周辺を含む南西諸島周辺。いずれもデータが足りず確率を出せなかった。さらに1771年に与那国島を含む八重山列島を大津波が襲った「八重山地震津波」のようなM8・5程度も加えたが、不明点が多く確率評価の対象外とした。

 M8程度の巨大地震より「ひとまわり小さい」M7・0~7・5の大地震は日向灘で30年以内80%程度、南西諸島北西沖の沈み込んだプレート内のやや深い地震で同60%程度だった。

=共同通信

 これとは別に、鳥取―長崎沖の日本海南西部にある海底活断層について30年以内のM7・0以上の確率を「8~13%」とした。活動間隔が数千年以上ともなる活断層としては高い数値となった。

日向灘~南西諸島「M8級、過去も将来も」

 海では地震により大津波が生じる危険性が高いが、津波の水位などは今後想定する。平田氏は「(今回加わった)M8級は過去に起きた可能性が高く、将来も起きるというのが基本的な考え方だ」と呼び掛けた。

 日向灘を含む東海―九州沖の南海トラフでM8~9級が30年以内に70~80%と予測済み。平田氏は「長期評価としては別だが、日向灘から南海トラフに破壊が伝わる可能性はある」と述べた。

 日本海南西部は東西3領域に分けて、30年以内のM7・0以上は東部3~7%、中部3~6%、西部1~3%。全体は8~13%だった。東部の伯耆沖断層帯は全長94キロで、M7・7~8・1が起こり得るとした。