子の貧困対策、中卒の進路未決定者を支援 沖縄県教委「自立の仕組みを整備」


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 子どもが生まれ育った環境に左右されず、夢や希望を持って成長できる環境を目指す県子どもの貧困対策推進会議は28日、2022年度から26年度に実施する「新たな子どもの貧困対策計画(案)」を承認した。従来の指標や施策に加え、22年度からは若年妊産婦の相談や就労支援、保護者の雇用の質改善など、親世代への支援も手厚くした。新計画では、これまで追跡できなかった中学卒業後の進路未決定者に進学や就労支援を実施する。進路未決定者の支援を実施する県教委は「貧困の連鎖を断ち、自立できる仕組みを整備したい」と語った。

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 県、22~26年度計画策定

 県教育委員会は21年度から、中学校を卒業した進路未決定者を支援しようと、相談窓口とつなげる取り組みを実施している。文科省の学校基本調査に基づく、20年度の県内中学校における卒業後進路未決定率は1・3%だった。県教委は、「新たな子どもの貧困対策計画(案)」の実施期間(5年)で全国平均(20年度時点0・6%)まで改善することを目指す。

 21年度の卒業生から始めている取り組みでは、卒業を控えた生徒や保護者から事前に承諾を得た上で連絡先を取得し、県が委託する子ども若者みらい相談プラザ「sorae(ソラエ)」に情報を提供する。ソラエは対象者が卒業した後、支援を開始する。臨床心理士や社会福祉士などの専門家によるカウンセリングに加え、地域の支援者や就職支援センター、学習支援塾などにつなげる。

 県教委が20年度の卒業生に対して実施した進路状況調査によると、当時の進路未決定者数は203人だった。未決定の理由として「進学や就職の意思確認ができなかったから」が22・2%、「就職希望だが就職先が未定だから」が19・2%と続いた。県教委の担当者は「支援の手が届かずに、資格などを持たないまま社会に出ることで、就職先も限られ貧困に陥ることも考えられる。取り組みを通して、希望する職や進学先に進み、社会的自立につなげてほしい」と期待を寄せた。
 (名嘉一心)


 

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