若年妊産婦も対象に 支援団体「自立できる環境が必要」 子の貧困対策拡充に期待


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 子どもが生まれ育った環境に左右されず、夢や希望を持って成長できる環境を目指す県子どもの貧困対策推進会議は28日、2022年度から26年度に実施する「新たな子どもの貧困対策計画(案)」を承認した。従来の指標や施策に加え、22年度からは若年妊産婦の相談や就労支援、保護者の雇用の質改善など、親世代への支援も手厚くした。新計画では、これまで追跡できなかった中学卒業後の進路未決定者に進学や就労支援を実施する。進路未決定者の支援を実施する県教委は「貧困の連鎖を断ち、自立できる仕組みを整備したい」と語った。

 新たな貧困対策計画には、若年妊産婦への相談や就労、就学支援などが盛り込まれた。県の若年妊婦支援事業を受託するおきなわ子ども未来ネットワークの山内優子代表理事は「行政による若年妊産婦支援は、ほとんどされてこなかった。彼女たちが安心して出産できる環境に向け、課題は山積している」と語る。

 同ネットワークは、自主事業として2019年から支援を開始。21年4月からは県の事業として、予期せぬ妊娠などで悩みや不安を抱えた若年妊婦などの電話やLINEでの相談支援や、産婦人科などへの同行支援を行っている。

 支援現場から見える課題は多い。山内代表理事は「相談に来る女性は避妊の必要性を理解しているが、男性の協力に頼らざるを得ない状況だ」と男性への性教育の重要性を指摘する。産まない選択をしても、中絶費用が工面できないという相談も多くあった。望まない妊娠を防げるよう避妊リングの費用を援助するキャンペーンも展開した。

 妊産婦受け入れに特化した公的施設がないとして、新たな計画による行政の支援拡充を期待する。「若年妊産婦が自立できる環境や支援を考えていく必要がある」と訴えた。
 (吉田早希)