神森中、残り3分の決勝点で日本一 冷静に努力の成果発揮 ハンドボール中学選手権


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男子決勝 手代木―神森 攻め上がり果敢にシュートを放つ新垣瑛太郎主将=富山県の氷見市ふれあいスポーツセンター(JHA提供)

 同点で残り3分。横一線の手代木の守備に、中央付近でボールを受けた神森の新垣瑛太郎が仕掛けた。右への動きから、すかさず左に体重移動。わずかに空いた2人の間を縫うように踏み込んでステップシュートを放った。地面にたたき付ける弾道でGKが横に伸ばした手と足の間を抜きゴールを射抜いた。

 残り時間わずか。外せば相手に決勝点の時間を与える。明暗を分ける大事な場面に「ここしかない。ここは自分がいこう」。相手は迷いがあると踏み「狙える」と判断した。

 準決勝はボールを持ちすぎて流れを悪くした。反省から決勝前半は司令塔役として意識を割き、仲間の力を信じてパスを供給した。この動きが布石となり後半は「マークが空く時間が出てくる」という戦略が当たった。さらにシュートは、それまでストレート系だった球筋を変えた。「あの流れなら取られない」と自信の一発だった。

 直後の守りはゴール前でこぼれ球を拾われ近距離からのシュートに、GK前城有里が反応、間合いを詰めコースをふさぎ会心の好セーブ。速攻によるだめ押し点につなげた。身長165センチ。高さはないが、前半から好守が光った。最後の場面でも「止めないと流れが変わる。めっちゃ集中していた」とうなずいた。

 2年生19人。沖縄に残ったメンバーもいる。みんなで緊張感を持って力を高め合ってきた。山内昌悟監督は「冷静な試合運び。努力の成果を出してくれた」とたたえ「他にないコーチ陣や保護者の応援のおかげ」と勝因を挙げた。

 前半にはスカイプレーも決めてチーム最多7得点で引っ張った新垣は「19人全員で勝ち取った優勝。また夏も同じ場所に立ちたい」と4年前に続く2冠を誓った。

(謝花史哲)


 ハンドボールの第17回春の全国中学生選手権大会決勝は29日、富山県の氷見市ふれあいスポーツセンターで開かれ、沖縄代表で9回目出場となった男子の神森は手代木(茨城)との競り合いを制して22―20で勝利し、4年ぶり2度目の全国一に輝いた。前半は一進一退の攻防が続き、神森が終盤にスカイプレーや巧みなパス回しで連続3得点を決めて13―10で折り返した。後半序盤はリードを保ったが、手代木に速攻などを仕掛けられ同点に追い付かれた。残り3分を切り、神森は新垣瑛太郎が守備の間を抜く個人技で得点。その後の手代木の攻撃を防ぎ、追加点を挙げて振り切った。優秀7選手に新垣、外間優志、岡田天雅が選ばれた。