原油をはじめとし燃料や小麦や大豆といった原材料価格の国際的な高騰を受け、1日から、生活を取り巻くさまざまな物やサービスの価格が引き上げられる。「値上げしても利益は出ない」。消費者だけでなく事業者にとっても厳しい「値上げの春」となりそうだ。
「小麦に油、梱包材。あらゆる原材料費がここ数年上がり続け、経営をもろに直撃している」。「上間弁当天ぷら店」などを運営する上間フードアンドライフの上間喜壽会長は、ため息をつく。この1年で天ぷらの衣に使う小麦の価格は1・6倍、油は1・8倍に膨れ上がった。昨年10月以降、看板商品の天ぷらは10円、オードブルや重箱は150~400円値上げしたものの、価格高騰分の補填(ほてん)には追い付かず、1日にも再び一部商品を値上げする。上間会長は「商品を値上げしても利益は出ない。異常な円安も追い打ちを掛け、状況の改善は見えないが何とか踏ん張るしかない」と述べた。
沖縄県内の流通大手も値上げに踏み切る。イオン琉球は小麦粉やめん類、調味料などの製品を順次引き上げる。一方でプライベートブランドの食料品や日用品約5千品目は6月30日まで価格を据え置き、「県民の暮らしを応援」(同社)する。サンエーも一部商品の値上げを決定し、担当者は「極力お客さまにご迷惑が掛からないような対応をしたい」と話した。
沖縄電力の4月の電気料金は、従量電灯の平均的なモデル(月間使用量260キロワット時)で65円値上がりし8823円となる。火力発電に使用する石炭と石油の輸入価格の上昇が原因で、輸入価格が高騰する前の2021年4月と比べると1872円値上がりした。5月には電気料金に上乗せする再生可能エネルギー賦課金の上昇を反映し、さらに24円引き上げられる。
都市ガスを供給する沖縄ガスは、1立方メートル当たり1円58銭値上げする。原料の輸入価格の変動を「原料費調整」として料金に反映。調整額は昨年9月から上昇し続けている。
(当銘千絵まとめ)