琉球文学大系の第1巻「おもろさうし・上」を発刊 651首収録


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「おもろさうし・上」を手にする(左から)「琉球文学大系」編集刊行委員会の波照間永吉委員長、名桜大学の砂川昌範学長、山里勝己名誉委員長=31日、名護市の名桜大学

 【名護】名桜大学(名護市)は3月30日、2019年から編集刊行に取り組んでいる「琉球文学大系」(全35巻)の第1巻「おもろさうし・上」を発刊した。専門家だけでなく、一般読者も対象としており、注釈や解説を充実させた内容になっている。県内の書店
では4月上旬に販売が始まる見通し。

 名桜大学の砂川昌範学長、編集刊行委員会の波照間永吉委員長、山里勝己名誉委員長が31日、同大学で記者会見を開き、同書をお披露目した。

 「おもろさうし」は古琉球時代に神事の場などで謡われた歌謡(オモロ)をまとめたもの。今回発刊された同書には、「おもろさうし」のうち、1~11巻の歌謡651首が収録されている。原文の上には語句などを解説する頭注欄、下には訳文、横には大意・解説などが記されている。波照間委員長は「一般の読者の人が読んでも分かりやすいテキストになっている」と紹介した。

 砂川学長は「沖縄の歴史、文化、言葉を保存・研究する活動が、沖縄のアイデンティティーを持つ世界中に住む、ウチナーンチュの心のよりどころになることを期待している」と述べた。

 「琉球文学大系」は30年度までに完成させる計画で、出版・販売は「ゆまに書房」(東京)が担う。第14巻「組踊・上」は22年9月、第11巻「琉歌・上」は22年12月、第2巻「おもろさうし・下」は23年3月に刊行する予定で進めている。(長嶺晃太朗)